水道工事会社｜水コネクト
水道管破裂の万全対策
セルフチェックマニュアル

水道管破裂は、一度起きてしまうと対処が大変です。しかし正しい知識を知り、事前にご自身でチェックすることで、そのリスクを大幅に減らせます。何よりも「凍らせない」ための予防こそが、ご自身の家と財産を守る、最も賢く経済的な対策なのです。

そこで、水道管破裂の対策を論理的なステップに分解して解説します。

段階的なアプローチによって漠然とした不安を解消し、あらゆる状況で冷静かつ適切な行動を取るための道筋を把握できます。

専門業者を呼ばなくても、今夜からすぐに実践できる効果的な方法を具体的にお伝えする、あなたのための実践マニュアルとしてご活用ください。

このガイドを最後までお読みいただくことで、水道管の心配という余計なストレスから解放されるでしょう。

まず、ご自身の住まいの水道管がどの程度の破裂するリスクを抱えているかを正確に把握することから始めましょう。

リスクが高まる温度

多くの専門家や全国の水道局が注意を促し始める、水道管が凍結するリスクが高まる外気温は-4℃です。この温度を下回ると、水道管の凍結、そして最悪の事態である破裂へとつながるリスクが高まります。

ただし、これはあくまで万全な対策が施された場合の「黄信号が灯る温度」と考えたほうがいいでしょう。というのも、お住まいの家が置かれた環境や、水道管そのものの状況によって、その危険温度は大きく変わってくるからです。

環境ごとの危険度

水道管にとっての「寒さ」は、天気予報の数字だけでは測れません。以下の項目にご自宅が当てはまるかところがないか確認し、自宅の“弱点”を把握してください。

日照時間が短い、あるいは全くない場所がある

日中に太陽光が当たる場所は、その熱によって配管温度が極端に下がることはありません。しかし、建物の北側など日照の恩恵を受けられない場所では、一度温度が下がると上がりにくく、夜間の放射冷却も相まって、低温状態が長く続くため、水道管が凍結するリスクが高まります。

絶えず風が吹き付ける場所

常に風が吹き付けるような場所では、配管の熱が強制的に奪われ続けます。これにより、実際の気温が-1℃程度であっても、配管の表面温度は-4℃以下まで低下してしまうことがあります。つまり水道管が凍結する危険性が急激に高まります。

保護されずに外気に直接触れている配管

庭の散水用の蛇口など、とくに保護されていない状態で冷たい外気に直接触れ続けている配管は、最も過酷な環境にあります。凍結するリスクはかなり高いと言えるでしょう。

断熱が不十分な家の、外壁に近い屋内配管

屋内だからといって安心はできません。壁一枚を隔てたすぐ外が氷点下であるような場合は、壁の内側にある配管もその冷気の影響をじわじわと受け続けることになります。特に昔ながらの断熱材が不十分な家だと、屋内であっても凍結することがあるのです。

屋外設置の給湯器まわりの配管

近年の給湯器本体は凍結防止ヒーターを備えていますが、それはあくまで「本体」を守る機能です。給湯器に接続されている水の配管やお湯の配管は凍結防止の保護対象外であることが多く、さらに屋外に設置されている場合は、いつ凍結しても不思議はありません。

築年数が古い家の配管

水道管の「年齢」も凍結のしやすさに影響します。特に築年数が古いお住まいに使われていることがある鉄管は、長年の使用で内部にサビが発生し、もろくなっている場合があります。水が凍結して膨張した際の圧力に耐えきれず、比較的新しい管よりも破裂しやすい傾向にあります。

天気予報で「今季一番の冷え込み」という予報が出たら、以下の予防策を実行してください。水道管のトラブルは、発生後の対応よりも「凍らせない」ための予防が、最も賢明で経済的な対策です。

配管を保護材で覆う（保温・防水）

屋外で冷たい風雨にさらされている水道管や、コンクリートが冷たいメーターボックス内の配管は、人間に服を着せるように、しっかりと断熱してあげましょう 。

保温材を巻く

ホームセンターで手に入る専用の保温チューブ（保温材）を使用するのが確実です。保温材は発泡スチロールやポリエチレン製などでできているものが多く、工具を使わずにパカッとはめ込むだけで簡単に取り付けられます。

すぐに買いに行けない場合は、応急処置として、古いタオルや毛布、着なくなったセーターなどを何重にも巻き付けてもいいでしょう。

大切なのは、配管と冷たい外気の間に「空気の層」を作ってあげることです。

防水処理を施す

保温材を巻き付けた上から、ビニールテープなどで雨水が染み込まないようにぐるぐる巻きに固定します。これは水が染み出さないようにする処置です。布が濡れて凍りつくと逆効果になります。

水を流し続ける（少量通水）

水道管の凍結防止策としては、「蛇口から水を少しだけ流しっぱなしにする」ということが古くから伝わっています。流れる水は凍りにくいという単純な物理法則を利用した対策ですが、非常に優れた知恵ですね。

家中の蛇口を全て開ける必要はありません。

STEP1で確認した「特に危険な場所」にある水道管に繋がっている蛇口を優先してください。例えば北側の壁にある洗面所、屋外の給湯器に繋がっているお風呂場の蛇口などで水を細く出し続けるのが効果的です。

水の量は、ポタッ、ポタッと滴が落ちる程度ではあまり効果がないこともあります。理想は、一本の細い線となって流れ続ける状態です 。

一晩中水を流し続けるとなると、水道代を気にする人もいるかもしれません。

しかし、一晩水を流し続けたところで、水道団は数百円しかかかりません。

もし万が一、水道管が破裂してしまうと、その修理費用は数万円から、時には壁や床の修復も伴って数十万円になるかもしれません。

そう考えれば、決して無駄ではない、むしろ合理的な対策と言えます。

屋外の蛇口をケアする

庭の水やりなどで使ったホースを、つい繋ぎっぱなしにしていませんか？

ホース内に残った水が凍ると、その膨張圧力が蛇口本体や、壁の中の見えない配管にまでダメージを与え、破裂させてしまうことがあります。

秋の終わりには必ずホースを外し、蛇口を少し開けて中の水を完全に抜いておく。この一手間が、春になってからのがっかりを防ぎます。

もし朝起きて蛇口をひねっても水が一滴も出なくても、焦らず、冷静に行動してください。ここで慌てて間違った対処をすると、事態をさらに悪化させてしまう可能性があります。

絶対にしてはいけないこと

凍結した際、良かれと思ってやったことが、かえって事態を悪化させてしまうことがあります。特に以下の行為は絶対に避けてください。

熱湯をかける

これが最も危険な行為です。

凍結した管に極端に熱いお湯をかけると、急激な温度差によって配管が歪み、素材がその変化に耐えきれずに破損・破裂する原因となるのです。

この「熱衝撃」は、絶対に避けてください。

蛇口を無理にひねる

蛇口が固くて動かなくなっているかもしれません。これは、蛇口内部のパッキンや金属部品までが氷と一体化してしまっているからです。

しかし、ここで力任せに回そうとすると、内部の繊細な部品が破損し、水漏れの原因になります。

凍結した水道管を安全に溶かす方法

それでは、どのようにして凍結した水道管を溶かせばいいのでしょうか。

基本は「急がず、優しく、じっくりと」です。

まず、凍っていると思われる配管の部分に、まずはタオルを巻きつけます。これは、熱を均一に伝え、保温する効果があります 。

次に、そのタオルめがけて、人肌か、お風呂より少しぬいと感じる程度のお湯（40～50℃）を、ゆっくり、ゆっくりとかけ続けてください。

くれぐれも、やかんなどで沸かしたお湯を直接かけるのではなく、給湯器から出るぬるま湯を使うようにしてください。

しばらく続けていると、管の中で「シャー」というような、氷が溶け出す微かな音が聞こえてくるでしょう。それが溶け始めたサインです。

凍結した配管には目に見えないヒビが入っていることがあり、そのヒビを氷が塞いで、水漏れを一時的に防いでいることがあります。ぬるま湯をかけて氷が溶け始めると、その氷の「栓」がなくなり、水が染み出したり、空気が漏れる音がしたりするかもしれません。

シューという空気の漏れるような音がしないか、じわっと水が染み出してこないか、注意深く観察してください。

もし異常を発見した場合は、すぐに作業を中断して止水栓を閉めましょう。

万が一、「シューッ！」という激しい音や、壁や天井に広がるシミ、床にたまる水たまりを発見した場合は、以下の手順に従ってください。

最優先は水の供給を止めること

これが何よりも先決です。「止水栓」を閉めることで、家全体の水の供給を止めてください。

止水栓の場所

戸建ての場合は、多くは敷地内の地面にある「量水器」や「メーター」と書かれた青や黒の蓋のボックス内にあります。マンション・アパートの場合は、玄関ドアのすぐ横にある、パイプスペース（PSと書かれた扉）の中にあることがほとんどです。

この機会に、ご自宅の止水栓の場所を一度確認して、閉めたり開けたりする練習をしておくことを強くお勧めします。

スマホで写真を撮っておくだけでも、いざという時の助けになります。

二次災害を防ぎ、専門家へ連絡

止水栓を閉めて水の流れを止めたら、次にやるべきは、水濡れ箇所周辺の家電製品のコンセントを抜くことです。

そして、ここまでできたら、私たち水回りのプロフェッショナルにお電話ください。

水道管の破裂は、もはやご家庭で対処できるレベルを超えています。無理に自分で直そうとせず、私たちプロにお任せいただくのが、最も安全で確実な解決策です。

最後に、トラブルが解決した後、金銭的な負担を軽減するために知っておくと役立つ情報をお伝えします。

火災保険の活用を検討する

無事に修理が終わったら、費用のことが気になると思います。

ぜひ、ご加入の「火災保険」の契約内容を確認してみてください。多くの場合、「水濡れ補償」という特約が付帯しており、水道管の破裂による床や壁、家財の損害をカバーしてくれる可能性があります。

保険を申請する際には、被害状況の写真が非常に重要な証拠となりますので、落ち着いたら、修理作業が始まる前に、スマートフォンで被害箇所を複数枚撮影しておくことを強くお勧めします。