アパートの給水管は引き直すべき?
費用・工事方法と部分修理との判断基準を解説
給水管の「引き直し」は、古い管を
全部取り外す工事ではない
給水管の引き直しと聞くと、いま使っている配管をすべて取り外し、同じ場所に新しい管を入れ直す工事だと思うかもしれませんが、実際によくあるのは、古い給水管は使わない状態にして残し、別のルートに新しい管を通す工事です。たとえば水道メーターから建物の外壁を通して各住戸へ配管し、そこからキッチン、洗面所、トイレ、浴室などへ新しい給水管をつなぐ、といった工事が多いです。
なぜ、わざわざ別の場所に配管するのかというと、古い給水管が床下や壁の中、コンクリートの下などを通っている場合、同じ場所で交換しようとすると、床や壁を広く開けたり、コンクリートを壊したりしなければならないからです。当然、その後には元に戻す工事も必要です。新しいルートをつくったほうが、工事の範囲を小さくできるわけです。
アパートでは配管が見えることもある
新しい給水管を建物の外壁に沿わせる「露出配管」も、引き直しで使われる方法のひとつです。
「え、外に管を出すんですか?」と驚くオーナーさんもよくいらっしゃいます。気持ちはわかります。見た目の問題は確かにあるのですが、床や壁を壊す復旧費を考えると、露出のほうが合理的なケースは少なくないのです。
見た目だけを考えれば、壁や床の中に隠したほうがすっきりします。ただ、配管を隠すために建物を大きく壊せば、その分だけ工事費も復旧費も増えます。
室内でも同じです。天井裏やパイプスペースを利用できればそこへ通し、難しい場所では壁際に配管してカバーを取り付けることもできます。
つまり給水管の引き直しとは、「古い管を新しい管に交換する」というより、これまでとは別に、安全に水を届けられる新しい道をつくる工事と考えたほうがわかりやすいです。
同じアパートでも建物の構造や水回りの位置によって、配管ルートも工事の規模も変わります。ここが、引き直し費用に大きな幅が出る理由のひとつです。
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アパートの給水管は引き直すべき?
費用・工事方法と部分修理との判断基準を解説
漏れたところだけ直すか、
給水管を引き直すか
給水管から水が漏れているとわかっても、いきなり全部を引き直さなければならないとは限りません。たとえば、漏水している場所が特定できていて、その周辺の配管に目立った劣化がない場合。継ぎ手の不具合や一部分の破損など、原因がそこだけに限られているなら、傷んだ部分を交換するだけで済みます。当然ながら部分修理のほうが安く済みます。まだ使える配管まで交換する必要がないからです。
では、業者が「引き直したほうがいい」と言うのは、どんなときでしょうか。
問題は、直した管の隣がまた漏れるケース
判断が難しくなるのは、給水管そのものの老朽化が進んでいる場合です。
今回漏れた場所を切って新しい管につなぎ直せば、そこからの漏水はいったん止まります。ただし、残っている古い給水管まで新しくなったわけではありません。数か月後や数年後に、少し離れた別の場所から水が漏れる可能性は残ります。
すでに同じ系統で何度か漏水している、古い金属管が広い範囲に残っている、漏水箇所を特定するために床や壁を何度も開けている、といった状況なら、「今回も漏れたところだけ直す」という対応を続けるべきか、一考の価値があります。
床下や壁の中なら、漏水箇所を探すだけでも費用がかかります。見つかった場所を修理し、開けた床や壁を元に戻す費用も必要です。そして別の場所で漏れれば、また調査から始めることになります。
つまり、ここで比べたいのは、たとえば「部分修理10万円」と「引き直し30万円」という二つの金額だけではないということです。
部分修理を選ぶなら、今回の漏水調査、修理、開口した部分の復旧まで含めていくらかかるのか。さらに古い配管がどれだけ残るのかも見ておく必要があります。
逆に、引き直しを選べば工事費は大きくなりますが、新しい管に替えた範囲については、古い給水管を使い続けるリスクを減らせます。
このへんは判断が割れるところで、私たちもどこまで直すべきと提案すべきか、いつも悩みます。業者によっても考え方が違うので、オーナーさんが混乱するのも無理はありません。
漏水箇所がわからないと、引き直したほうが安い場合もある
もうひとつ考えておきたいのが、漏水していることはわかっているのに、場所がなかなか見つからないケースです。
水道メーターは回っている。しかし床の上には水が出ておらず、壁を見ても濡れていない。こうなると、床下や地中、コンクリートの下にある給水管まで調べなければなりません。
もちろん、漏水箇所を特定してそこだけ修理する方法もあります。ただ、調査や掘削に費用をかけた末に古い管を一部分だけ直すのなら、既存の配管を追いかけず、別ルートに新しい給水管を通したほうが工事を抑えられます。
だから、「漏水したら部分修理」「築年数が古ければ引き直し」と単純には決められません。
見るべきなのは、いま漏れている1か所を直せるかどうかと、古くなった給水管をこの先どうするかは別の問題だということです。
とくにアパートでは、ここからもうひとつ判断が必要になります。今回漏れた部屋だけの問題なのか、それとも同じ時期につくられたほかの部屋の給水管まで考えたほうがいいのか、という問題です。
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アパートの給水管は引き直すべき?
費用・工事方法と部分修理との判断基準を解説
漏れたのは1室なのに、
アパート全体を引き直す必要はある?
アパートの1室で給水管から水が漏れた。それだけで、ほかの部屋まで給水管を引き直さなければならないのか。そう決まっているわけではないです。給水管は、建物へ水を引き込む部分から各住戸へ分かれ、さらにキッチンや浴室、洗面所、トイレなどへつながっています。漏水したのが特定の住戸だけに水を送る配管で、原因もその場所に限られているなら、その住戸だけを修理したり、給水管を引き直したりする方法があります。実際、アパートの一室だけで給水管や給湯管を引き直す工事も行われています。
問題は「なぜその部屋で漏れたのか」です。
同じ時期につくられた配管なら、ほかの部屋も無関係とはいえない
たとえば築年数の経ったアパートで、各住戸に同じ材質の給水管が使われ、ほぼ同じ時期に施工されていたとします。
101号室で配管の老朽化による漏水が起きたとしても、102号室や201号室の管だけが新しくなっているわけではありません。同じ年月を経ているなら、ほかの住戸についても状態を確認する理由はあります。
とはいえ、「1室で漏れたから全戸引き直し」という話でもありません。
漏水の原因が継ぎ手の施工不良だったのか、配管全体の腐食だったのかでも意味は変わります。過去に別の住戸で同じような漏水が起きているかどうかも、判断材料になります。
初めての漏水で、原因が局所的なものなら、その部屋だけ直して経過を見るという選択もありでしょう。反対に、ここ数年で201号室、次は103号室というように同じような漏水を繰り返しているなら、その都度修理する方法が本当に安いのか、ということを考える段階だと思います。
「何室漏れたら全戸を引き直す」という決まったルールがあるわけではありません。今回の漏水だけを見るのではなく、建物全体でこれまで何が起きているかを見ることが大切です。
ちなみに、築30年を超えるアパートだと、住戸ごとに配管の状態が微妙に違うこともあります。現場で見ていて「同じ建物なのに、なぜここだけ傷み方が違うんだろう」と思うこともあったります。
「どこからどこまで引き直すのか」でも話は変わる
もうひとつ、アパートでは、工事範囲をはっきりさせておく必要があります。
「給水管を引き直します」と言われても、それだけでは工事内容はわかりません。
道路側から建物へ水を引き込む管があり、そこから共用部分を通って各住戸へ給水され、室内ではキッチンや浴室などへ枝分かれしていきます。どこに問題があるかによって、当然、工事する範囲が変わります。
たとえば、各住戸の室内配管は新しくしても、そこへ水を送る共用側の古い給水管は残ることがあります。反対に、建物までの給水管を更新しても、各住戸内の配管までは工事しない場合もあります。
ですから、見積もりを取るときに「給水管引き直し」とだけ聞いて金額を比較するのは少し危険です。
どの配管を使わなくして、どこからどこまで新しい管にするのか。1室だけなのか、複数の住戸なのか。共用部分も含むのか。そこが違えば、当然、工事費も変わります。
アパート全体を引き直すかどうかを考える前に、まず今回の漏水がどの系統で起き、古い配管が建物のどこに残っているのかを整理する。そのうえで工事範囲を決めるほうが、必要のない場所まで交換したり、逆に直すべき古い管を残したりする失敗を避けやすくなります。
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アパートの給水管引き直しには、
いくらかかる?
給水管を引き直すとなれば、やはり気になるのは費用です。実際の施工例では、アパートの一室で給水管と給湯管を引き直して30万円というケースがあります。また、マンション・アパートの給水管全体の引き直しについて、20万~40万円程度を目安としている水道業者もあります。ただし、「アパートなら30万円前後」と考えるのは早いでしょう。同じ1室でも、どこからどこまで新しくするのか、配管をどこへ通せるのかによって金額は変わります。
配管の長さだけで費用は決まらない
まず違ってくるのが、新しくする配管の範囲です。
キッチンだけにつなぐのか、浴室、洗面所、トイレまで引き直すのか。水だけを通す給水管なのか、お湯を通す給湯管も含めるのか。当然、工事範囲が広がれば費用も増えます。
もうひとつ差が出るのが、管を通す場所です。
外壁に沿わせて露出配管にできれば、床や壁を大きく壊さずに済むことがあります。ところが、床下へ入れない、コンクリートの下を通さなければならない、室内の壁を開ける必要があるとなれば、話は変わります。
コンクリートを壊せば、工事後には元に戻さなければなりません。壁や床も同じです。
つまり、引き直しでは配管そのものより、新しい管を通すための工事と、その後の復旧にお金がかかることがあるわけです。
実際のケースでは、同じ「1室の引き直し」に10万円以上差が出ることは珍しくありません。図面上は似ていても、現場へ入ると「これは大変だな」と思うルートが隠れていることがあるからです。
1室の金額を戸数分掛ければ一棟の費用になるわけではない
「1室30万円なら、6室で180万円くらい」という単純計算にはなりません。
一棟で工事すれば共通する作業をまとめられることはあります。逆に、1階と2階で配管ルートが違う、入居中の住戸では室内へ入れる日時が限られるなど、戸数が増えることで別の手間が発生するケースもあるのです。
一棟の引き直しを検討するなら、「1室いくら」ではなく、建物全体でどんなルートに新しい給水管を通すのかを決めたうえで見積もってもらう必要があります。
そのときに見たいのは総額だけではありません。30万円と40万円の見積もりがあれば、30万円を選びたくなるでしょうが、30万円では室内の一部だけ、40万円ではメーターから水回りまで引き直すという内容なら、そもそも同じ工事を比べていないことになります。
その金額で、どこからどこまで新しい給水管になるのか。費用を比べるときは、まずここを揃えないと意味がないのです。
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アパートの給水管は引き直すべき?
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給水管を直すなら、
給湯管も一緒に替えたほうがいい?
給水管を引き直すとき、「給湯管も一緒に替えたほうがいい」と提案されることがあります。水漏れしているのは給水管なのに、なぜ給湯管まで替えるのか。工事費を増やすためではないか、と勘ぐりたくなるでしょうね。
その理由のひとつは、給水管と給湯管が同じ時期に施工されていることが多いからです。今回、給水管が経年劣化によって漏水したのであれば、給湯管についても状態を確認しておく意味はあります。
もうひとつは、工事が重なる部分があることです。給水管を通すために壁や床を開け、新しい配管ルートをつくるのであれば、後になって給湯管だけを工事するより、同じタイミングで施工したほうが壁や床を開ける作業を繰り返さずに済む場合があります。
とはいえ、給水管を引き直すたびに給湯管まで必ず交換したほうがいいとは限りません。給湯管が比較的新しい、給水管とは材質や施工時期が違う、調べても劣化が見られない。それなら、まだ使える管まで交換する必要はないでしょう。
ここでも考え方は部分修理と同じです。
「せっかく工事するから全部替える」ではなく、給湯管の材質や施工時期、現在の状態を確認したうえで、同時に工事した場合の追加費用を出してもらう。その金額を見てから決めても遅くありません。
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費用・工事方法と部分修理との判断基準を解説
入居中のアパートでは、
工事費以外にも確認することがある
自宅の給水管なら、工事の日程を業者と相談して自分で決めるだけですが、アパートはそうはいきません。水を使って生活している入居者がいるからです。
給水管を引き直すからといって、工事期間中ずっと水が止まるわけではありません。既存の給水管を使える状態で新しい管を施工し、最後に新しい管へ切り替えるなら、断水するのは主に切替作業を行う時間だけです。
入居者から見れば「工事は○月△日です」と言われるより、「自分の部屋で水が使えないのは何日の何時から何時までなのか」と言われたほうがわかりやすいです。アパートの工事では、この時間を事前にはっきりさせておく必要があるのです。
室内に入らなければ工事できないこともある
外壁に新しい給水管を通すだけなら、屋外の作業でかなり進められる場合もあります。ただ、最後はキッチンや洗面所、トイレ、浴室などへ管をつながなければなりません。
そのため、入居中の部屋へ作業員が入るケースも出てきます。
厄介なのは、立ち入るのが漏水した部屋だけとは限らないことです。極端にいえば、建物の構造や配管ルートによっては、2階の給水管を施工するために1階の部屋へ入る必要が生じることもあるのです。
「うちの部屋は漏れていないのに、なぜ工事に立ち会わなければならないのか」と思われるでしょうが、べつに不思議ではないのです。
工事前に、断水の日時だけでなく、室内への立入りがあるのか、どのくらい時間がかかるのかということまで伝えておいたほうが入居者への話は進めやすいです。
余談ですが、工事当日に「今日は在宅できません」と急に言われて予定がずれるのは日常茶飯事です。アパート工事は、こうした“人の事情”が絡むので、机上の計画どおりに進まないことが多いです。
工事が終わったら、水が出るかまで確認する
工事は、新しい管につないだら終わりではありません。
切替後には各水栓から正常に水が出るか、漏れているところはないかを確認します。複数の住戸をまとめて引き直したら、各部屋ごとに確認が必要なこともあります。
ということは、オーナーが業者に確認したい「工期」はひとつではないということです。
建物全体の工事は何日かかるのか。そのうち断水するのは何時間なのか。入居者の立会いが必要なのはいつなのか。
この三つを分けて聞いておくと、入居者に案内しやすいでしょう。
給水管の引き直しは、配管が新しくなれば完了する工事です。ただ、入居中のアパートでは、その工事を普段の生活になるべく支障を出さずに進められるかということも、業者を選ぶ際に確認しておきたいところです。
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アパートの給水管は引き直すべき?
費用・工事方法と部分修理との判断基準を解説
見積書の「給水管引き直し一式」
だけでは比較できない
給水管の引き直しで相見積もりを取ると、業者間で結構な金額差が出ることがあります。当然、安いほうを選びたくなりますが、その前に、その業者が同じ工事を見積もっているかどうかをよく見てください。
たとえば「給水管引き直し工事一式」とだけ書かれていたら、その一式に何が含まれているのかわかりません。水道メーターから新しくするのか、建物の途中からなのか。室内ではキッチンだけなのか、浴室や洗面所、トイレまで含まれるのか。給湯管は別料金なのか。ここが違うと、10万円、20万円の差が出ます。
配管以外の工事も見ておきたいところです。
外壁に露出させるなら、配管を保護するカバーや保温材は含まれているのか。壁や床を開けるなら、その費用だけでなく元に戻すところまで見積もられているのか。古い管を撤去するのか、使用を止めてそのまま残すのかということも要確認です。
一棟で工事する場合は、入居者への対応についても聞いておいたほうがいいでしょう。各住戸への立入り日時の調整や工事後の通水確認を誰が行うのかということで、オーナーや管理会社側の負担は全然違います。
見積書を見てもわからない場合は、図面や建物を見ながら「いま使っている管のうち、今回の工事でどこが新しくなるのか?」と聞いてみれば、工事後にも古い管が残る場所が見えてきます。
相見積もりで揃えるべきなのは、金額ではなく工事の条件です。30万円と40万円をそのまま比べるのではなく、同じ範囲を新しくした場合はいくらになるのかを見る。そうすれば、「安いと思って頼んだら、必要な工事が別料金だった」という行き違いも避けやすくなります。
給水管の引き直しは、見積書の総額を見る前に、その金額でどこまで直るのかを確認する。これが業者を比較するときの出発点です。
アパートの給水管は引き直すべき?
費用・工事方法と部分修理との判断基準を解説
部分修理か引き直しかは、
「今回の漏水」だけで決めない
アパートで初めて漏水が起き、場所も原因もはっきりしている。それなら、漏れた部分を修理するだけで済むかもしれません。給水管が古いという理由だけで、すぐに全戸を引き直す必要はありません。
迷うのは、同じような漏水が何度か起きているときです。
今回漏れた場所を直せば、そこから水は漏れなくなります。しかし、その先に同じ年代の古い給水管が残っていれば、別の場所で漏水する可能性まではなくなりません。そのたびに漏水調査をして、床や壁を開けて修理するとなれば、当初は安かった部分修理が結果的に高くつくこともあります。
反対に、まだ使える管まで一度に替えればいいというものでもありません。
まず今回の漏水原因を確認し、過去にほかの住戸でも漏れていないか、どこまで古い配管が残っているのかを調べる。そのうえで、部分修理を続ける場合と引き直す場合の工事範囲と費用を比べます。
アパートの給水管引き直しで比べたいのは、部分修理と大きな工事の金額だけではありません。今回の工事でどこまで直り、どこに古い管が残るのか。その違いがわかれば、いま必要な工事も判断しやすくなります。




