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グリストラップの掃除するべき頻度、掃除方法など、
グリストラップの健全なメンテナンス方法を解説します。
飲食店など業務用の厨房では、排水において「グリストラップ」を設置することが義務づけられています。グリストラップは、食材のくずや油脂分などを下水に流さないために必要な機能を備えた設備です。
グリストラップの機能を十全に発揮するためには、適切なメンテナンス、つまり「掃除」が欠かせません。そこで本記事では、グリストラップの掃除するべき頻度、掃除方法など、グリストラップの健全なメンテナンス方法を解説していきます。
グリストラップ掃除の頻度や
具体的な掃除方法を徹底解説
グリストラップ掃除の頻度や
具体的な掃除方法を徹底解説
グリストラップを設置した場所で働いている方でも、日常使っているグリストラップがどんな構造をしているかよく知らないかもしれません。
きちんと構造を知れば、グリストラップがいかに重要な設備であるか、どんな点に注意してグリストラップを使用したりメンテナンスしたりするべきかをよく理解できるでしょう。
厨房などからの排水がまずたどり着くのは、グリストラップの「第1層」と呼ばれる部分です。
排水は、まず第1層にあるバスケットを通過し、排水に含まれている食材のくずや大型の異物をせき止めます。
これは一般家庭でも同じですが、台所や厨房などから流される排水には数多くの食材くずが含まれています。いくら注意しても、少なくない量の食材くずが排水に混ざって流されいるのです。
そのままそれらの異物を排水管に流してしまうと、どこかで詰まってしまい、最終的には閉塞して排水がスムーズに流れなくなってしまいます。
一度詰まってしまうと、高圧洗浄機などを駆使した洗浄作業が必要になってきます。厨房のように大量の食材くずが含まれる排水を日常的に流している場所では、致命的なロスを生んでしまうことになります。
そのため、グリストラップは、排水に含まれている大きな異物はバスケットで受け止め、そのまま排水管に流れていかないようにしています。
ただし、このバスケットはすべての異物をせき止めているわけではなく、網目をくぐった異物はそのまま沈殿し、いわゆる汚泥となってグリストラップの第1層から第2層の下部に堆積します。
グリストラップの第1層で大きな異物が取り除かれた排水は、次に「第2層」にたどり着きます。
第2層の重要な役割は、排水に含まれている油分を分離させることです。
グリストラップが設置されている飲食店の厨房などでは、排水に大量の油脂分が含まれています。これをそのまま排水してしまうと水資源や水産資源に致命的なダメージを与えてしまいます。
第1層のバスケットでは固形物しかせき止めることができないため、排水に含まれている油脂分は第1層を通過してしまっています。
そこで、グリストラップの第2層では、油が「水より軽い」という性質を利用して、第2層の上部に油を集めるわけです。
グリストラップの第2層で油脂分が分離した排水は、第2層の下部から第3層へと流れつきます。油脂分はそのほとんどが第2層に留まり、第3層へと流れつく油脂分の量を最小限に留めるのです。
グリストラップの「第3層」では、第2層で取り除き切れなかった油脂分をさらに分離させ、異物と油脂分がほとんど取り除かれた排水を下水へと流していきます。
このように、グリストラップの3つの層はそれぞれ異なる役割を担っており、それぞれの層で異物を取り除いて、余計なものが含まれていない状態にした排水を下水へと流しているのです。
当然ながら、各層で分離した異物は各層にそのまま残りますので、きちんと掃除を行う必要があります。
業務用の厨房には、「建設省告示第1597号」によりグリストラップの設置が義務づけられています。
排水に含まれる異物の量が少ない一般家庭でグリストラップを設置しているところはまずないでしょう。
仮に設置しても、通常よりも手間のかかりますので、大きなメンテナンスの手間がかかってしまいます。
グリストラップ掃除の頻度や
具体的な掃除方法を徹底解説
前項で述べたように、グリストラップは「厨房排水の中に含まれる異物を取り除く」という重要な役割を担っています。
グリストラップの1~3層で取り除かれた異物は、そのままにしていても自然に消えてなくなることはありません。掃除をしないと、いつまでもグリストラップの内部に残っています。
これを定期的に掃除をしないとどうなってしまうでしょうか。
グリストラップ内部に残っているのは、「第1層の食材カスと底部の汚泥」、そして「第2層の油脂分」です。
特に夏場の気温が高い季節にこれらを放置すると、耐えられないレベルの悪臭が発生するはずです。
厨房内に充満した悪臭は、そこで働く人の健康を損ないます。場合によっては、厨房の外まで悪臭が広がり、顧客からのクレームにつながる事態に陥る可能性もあります。
グリストラップ内部には食材のカスが大量に残されています。それをエサとして「害虫」が発生する可能性があります。
厨房という場所は特に良好な衛生環境が必要です。そんな場所で害虫が発生すれば、最悪の場合は食中毒の原因にもなるかもしれません。
食品内に害虫が入り込んだり、厨房から出てきた害虫を顧客に発見されてクレームの原因になってしまう可能性もあります。
また、害虫の増加は、さらにその害虫をエサにする肉食昆虫や害獣の発生を招きます。
いずれにしても、グリストラップを設置するような施設で害虫や害獣が発生すれば、安全な活動を継続することが難しくなることは確かです。
グリストラップ内部に異物が残されている状況が続けば、グリストラップの機能自体にも問題が生じます。
グリストラップが正常に機能しないと、本来であれば異物が取り除かれるはずの下水側まで異物が流れ込んでしまうことになります。
結果、グリストラップ内部に異物が堆積し、それが積もりに積もって排水システムを阻害し、最終的に閉塞を起こします。
排水システムがスムーズに働かなければ、厨房から発生し続ける排水を処理しきれなくなり、最終的に逆流を起こしてしまうでしょう。
グリストラップの機能不全を放置すれば、本来であればグリストラップ内でせき止めているはずの異物が排水に混ざったままになってしまい、第3層までに処理しきれなかった異物がそのまま下水まで流れ込んでしまいます。
ここで、クイズです。
「大さじ1杯の油」を自然環境に流した場合、河川や海の生き物にその影響が及ばないようにするためには、どれほどのきれいな水が必要でしょうか?
答えは、「数百~数千リットルの水」です。
そこまでしないと、水辺の生き物に何らかの影響が及ぶといわれているのです。
厨房から発生する食用油は、「大さじ」どころのレベルではありません。グリストラップによる油脂分の分離機能が損なわれると、水資源や水産資源、水辺に生きる生き物への悪影響は計り知れないものになります。
害虫の「予防」と「駆除」では、「駆除」にかかる手間やコストのほうが大きくなります。
また、「あの店では害虫が発生した」という風評が立ってしまうと、お店の継続を著しく困難にするはずです。
グリストラップ掃除の頻度や
具体的な掃除方法を徹底解説
前々項で述べたように、グリストラップは3層構造をしています。
このため、「掃除する箇所も3か所」と思ってしまいがちですが、分類すると5か所の掃除・チェックが必要なのです。
どんな箇所に注意して掃除を行うのかということを解説します。
グリストラップ第1層の「バスケット」は、厨房排水に含まれている大きな異物をせき止める役割を担っています。異物1個あたりが大きいわけですから、バスケット内には体積の多い生ごみが溜まっています。
バスケットの掃除は、基本的に毎日行ってください。
バスケットはグリストラップの中でも最も手の届きやすい箇所ですが、放置すると腐敗が進み、悪臭や害虫などの原因になりやすい部分です。
掃除後はバスケットの状態を軽くチェックし、劣化が酷ければ破損する前に交換用パーツを注文しておきましょう。
グリストラップ第2層には、排水内の油脂分を分離したものが浮いており、これも定期的な掃除が必要不可欠です。
油脂分の塊ですから、酸化すると悪臭を放ちます。第1層のバスケットほど毎日掃除する必要はありませんが、最低でも1週間に1回のペースで掃除することをおすすめします。
ただし、厨房排水に含まれている油脂分が多いと1週間に1回では処理しきれない可能性がありますので、業務上どうしても排水内に油脂分が多い場合は、掃除する頻度を上げた方が良いでしょう。
グリストラップ第3層には排水トラップ管があり、これも掃除の対象になります。
基本的に第3層は(グリストラップが正常に機能していれば)比較的きれいになった排水がたどり着くため、第1層・第2層ほど汚れることはありません。
しかし、あくまでも流しているのは厨房排水、第2層までに除去しきれなかった汚れの影響を受けています。
他の場所ほど頻繁に行う必要はありませんが、それでも2~3か月に1回のペース、年数回は掃除したほうがいいでしょう。
グリストラップは、底部に「バスケットを通り抜けた、水よりも重い異物」の堆積物が汚泥として溜まっています。
これも当然掃除の対象です。頻度としてはできれば1週間に数回、最低でも1か月に2~3回のペースで掃除するのが望ましいです。
底部の汚泥の掃除頻度を減らすためには、第1層のバスケットで受け止めることができる異物の幅を広げるのが有効です。
例えば、バスケットにグリストラップ用のネットをしかけることで、バスケットの網目ではすくいきれないレベルの大きさの異物でもせき止めることができるわけです。
これは厳密にはグリストラップの「掃除」ではありませんが、「グリストラップの蓋」も確認しておきましょう。
この蓋の交換は一概に「〇年に1回」とは言いにくいのですが、グリストラップの掃除の際には必ず蓋を開けることになりますので、その際に蓋の状態を確認しておくといいでしょう。
錆びや老朽化の程度をチェックし、必要に応じて交換してください。
グリストラップ内部の掃除の頻度の目安は、どういった使い方(厨房での排水の状況)をするかによって異なります。
グリストラップへの負担が大きい厨房では、本項に書いた目安より頻度を上げてグリストラップを掃除することをおすすめします。
グリストラップ掃除の頻度や
具体的な掃除方法を徹底解説
グリストラップの掃除は、専門業者でなければできないというわけではありません。
特に掃除頻度の多い箇所の掃除は、いちいち業者に依頼したらコストがかかりすぎてしまいます。
本項では、可能なところは自店で掃除できるように一般的なグリストラップの掃除方法を解説します。
グリストラップの構造は場所によって異なりますので、お使いのグリストラップの構造がわかるもので掃除方法についても確認しておいてください。
第1層の「バスケットの生ごみの処分」と「底部の汚泥の掃除」について説明します。
第1層のバスケットの中には、厨房排水に含まれている比較的大型の異物が溜まっていますので、それを回収して処分します。
前項で「ネットをかぶせる」と書きましたが、バスケットにネットをかぶせるとバスケットでせき止めることができる異物の量が増える、つまり底部に汚泥して溜まりにくくなります。また、バスケット内の異物を回収しやすくなるというメリットもあります。
発生する異物の量にもよりますが、基本的に1日1回、最低でも2日に1回は掃除してください。
グリストラップの底部には、バスケットで回収できず、油脂分として浮き上がって来なかった「スラッジ」と呼ばれる、いわゆる「汚泥」が堆積しています。
バスケットのように毎日掃除する必要性はありませんが、できるだけこまめな頻度で汚泥を回収してください。
また、毎回でなくてもいいので、汚泥を回収した後の底面や壁面をブラシでこすって汚れを落としておきましょう。
第2層の「上部に浮いている油脂分の除去」について説明します。
この油脂分は「スカム」と呼ばれています。放置すると悪臭などの原因となるため、週に1回のペースで掃除しましょう。
ひしゃくやストレーナーなどの道具を使って、浮いている油脂分を回収してください。
油分が多く排水に含まれる厨房では、溜まる油脂分の量もそれだけ多くなりますので、できるだけ1週に数回の頻度で掃除することをおすすめします。
第3層の「排水トラップの汚れの除去」について説明します。
第2層までの掃除で大半の異物は取り除かれていますが、それでもわずかに第3層まで汚れが排水に残ってしまい、これが排水トラップに付着してしまいます。
放置すると悪臭や排水トラップの機能不全の原因になりますので、数か月に1回の頻度で汚れを取り除いておきましょう。
厨房からどのような排水が流れてくるかによって、グリストラップの汚れ方は異なります。
「食材のカスが多い」「油が多い」などによって汚れやすい箇所は変わりますので、掃除する頻度はその厨房ごとに目安を決めるべきです。
場合によっては、一般的な頻度よりも数倍もこまめに掃除しないと清潔さを保てない厨房もあります。
グリストラップ掃除の頻度や
具体的な掃除方法を徹底解説
グリストラップの掃除を行うのに、特別な資格や免許は必要ありません。厨房内で担当者を決め、定期的に掃除しているところも多いでしょう。
しかし、知識やノウハウが乏しいと、グリストラップの掃除がうまくてきずに失敗してしまうこともあります。
グリストラップを清潔に保ち、厨房や店舗の衛生を守るために、グリストラップ掃除のポイントをしっかりと押さえておきましょう。
グリストラップの掃除においては、「スケジュール決め」と「担当者決め」が重要です。
「誰かヒマなときにグリストラップを掃除しといて」というような適当なスタンスで掃除方法を決めることはおすすめできません。
グリストラップの掃除はいわゆる「3K」です。面倒でデメリットも多いため、基本的に誰も率先してやりたいとは思いません。
結果、誰もグリストラップの掃除をしないため、適切な頻度での定期的な掃除ができなくなってしまいます。
グリストラップの掃除を自店内の人員でまかなう場合は、明確にスケジュールと、担当者を決めて継続してください。
グリストラップを掃除すると必ず次のようなゴミが発生しますが、厳密に処分する必要があります。
・第1層バスケット内の食材カスなど:一般廃棄物扱い
・第2層上部に浮いている油脂分:産業廃棄物扱い
・底部に堆積している汚泥:産業廃棄物扱い
産業廃棄物扱いになっている「油脂分」と「汚泥」については、産業廃棄物処理の資格をもった専門業者に依頼して適切に処理してもらう必要があります。
もし、産業廃棄物の扱いをしなければならないゴミを一般廃棄物位と一緒に廃棄すると、廃棄物処理法違反として処罰される可能性があります。
グリストラップを掃除する際には、各部品の劣化状況をきちんと確認しておきましょう。
主に「第1層のバスケット」や「全体の蓋」などがこれに該当しますが、劣化が致命的なレベルまで進行してしまうとグリストラップの機能自体に悪影響を及ぼす可能性があります。
問題があると判断した部品は早めに交換用部品を注文して交換しましょう。
グリストラップの定期的な掃除を厨房内のスタッフで行う余裕がない、という場合もあると思います。
その場合は、グリストラップの掃除に対応してくれる業者に依頼することいなります。
プロフェッショナルである業者にしっかりと掃除してもらうことで、衛生面でのメリットも発生します。
業者を選ぶにあたっては、
・実績が豊富である
・産業廃棄物処理の資格を有している
・評判が良い
・コストが予算内に収まる
などのポイントで比較・選定してください。
行政の審査を通過した産業廃棄物処理業者には「優良認定」が与えられます。
信頼できる業者かどうかを判断する基準にもなります。
グリストラップ掃除の頻度や
具体的な掃除方法を徹底解説
グリストラップを定期的に清掃して良好な状態に保つことは、厨房や店舗の衛生を良好に保ち、健全に店舗を経営するために必要不可欠です。
正しい掃除方法・メンテナンス方法を把握し、スケジュールと担当者を明確に決めて継続しましょう。
自分たちでグリストラップを掃除する余裕がないという場合は、グリストラップの掃除に対応している業者に依頼し、グリストラップの状態を良好に保つ体制を整えてください。
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